和漢膳(薬膳)ガイド
和漢膳(薬膳)とは
東洋医学の考え方をもとに、その人の体質に合わせて食材に栄養価の高い生薬を加えて作る料理です。不調やバランスの崩れが早く整うのが魅力です。
中国で生まれた薬膳は、当然自分の国の料理で中華料理です。それを日本の薬膳家第一号の板倉が、日本人の味覚や体質に合わせて和食・洋風にアレンジしたものが和漢膳です。同じ人間でも民族によって体質が違うことが分かってきました。日本人の私たちは欧米の人より腸が1.2~1.3倍長く、糖質の分解に関わるインスリンの量も半分しかないのです。
日本人に合った「食」を摂ることが健康長寿への秘訣となります。
薬膳の元気スパイラル「気・血・水」
薬膳は「オーダーメイドの料理」
薬膳にはカロリー計算はありません。
運動した日、それぞれの体質により代謝が違うのに、一律に同じカロリーで表し、それを基準に食べて、健康をはかるには偏りがあります。
薬膳は季節や食べ物のもつ性質、味が体に与える影響などいろいろな角度から考えて作るおいしい料理です。
献立をたてる目安の一つに、自分は冷え性タイプか暑がりタイプかによって食べ物を選食します。
食べ物には食性があるのです。たとえば玉ねぎ一個、ジャガイモ一個、バナナ一本、ほぼ同じ80kcalですが体に与える食効は違います。
冷え性の方がナス、きゅうり、レタスなどの涼寒性食品ばかりで献立を立てますと、ますます体が冷えて不調になってしまいます。
冷え性の方は、しょうが、ピーマン、かぼちゃなど体を温め、血流をよくする食品を少し多めに食べることで体内バランスが整います。
薬膳は旬のパワーを活かして食べる料理
四季折々、季節の食べ物と体調はとても関係が深く、旬の食べ物を栄養価の高い和漢食材と組み合わせて食べることで、体調を整え 病気にかからない体作りをめざします。
衣服の衣替えのように体も衣替えしましょう。
日本型薬膳「和漢膳」を提唱します
身体の機能に働きかけて不調を改善する薬膳は、中国に生まれ、3千年間東洋医学の知恵を取り入れながら発展してきました。
薬膳を日本に根付かせようと長い間奮闘していた私たちにとって、2008年に東京電力が行った薬膳に関するアンケート調査は衝撃的でした。
いまだに70%の人が薬膳を食べたことがなかったり、知らないというのです。
ただ、同時に「健康によい」「栄養バランスがよい」など好イメージがあることもわかったので、潜在的なニーズはあり、伝え方を工夫すれば受け入れていただけるのではと、希望を感じました。
そこで、もっとご家庭で手軽に取り入れていただくには、“薬”というイメージから離れた新しいネーミングが必要と考えました。
日本人の味覚、体質合った和食の「和」と、漢方を基本にした料理なので「漢」、料理の「膳」で、「和漢膳」の誕生です。
「和漢膳」は、薬膳の正統的な考え方を踏まえつつ、日本人の体や味覚に合うようにアレンジしたおいしい料理です。
カンタン和漢食材ガイド
枸杞子くこし (くこの実)
ナス科。クコおよびナカバクコの成熟果実。
食味=甘。食性=平。
βカロテン、ビタミンB群、ビタミンCや鉄、ミネラルなど15種類以上の成分により、疲労、頭痛、目の疲労、美肌に有効。また糖質を阻害する成分ステロイドアルカロイド配糖体を含むことが分かり、注目されている。
ドライフルーツとして、そのまま食べられます。料理に用いる場合は、日本酒やリキュール類にしばらく浸しておくと、やわらかく戻ります。スープや煮物の場合、火を止める直前にそのままお加えください。
サラダ、和えもの、お菓子などに用い、美しい彩りとレーズンのような甘酸っぱさはどなたにも好まれます。
1回の使用量は4人分で大さじ1~2が目安。
海松子かいしょうし (松の実)
竜眼肉りゅうがんにく (リュウガンの実)
銀耳ぎんじ (白きくらげ)
紅花こうか
蜂花粉はちかふん
大棗たいそう(ナツメ)
山査子さんざし
和漢膳(薬膳)Q&A
- 「和漢膳」って?
- 薬膳は東洋医学の「薬(医)食同源」の考え方をもとに、その人の体質(証)に合わせて作る健康料理です。
三千年の間食べ続けられた中華料理の薬膳を、グローバルに和食・洋風にアレンジしたものが和漢膳です。
- 「和漢膳」っていろいろ制限がありそう?
- 空を飛ぶものは飛行機以外、海は船以外、地上の四つ足は机以外すべてを食材として捉えます。副作用があるものが薬、ないものが食べ物と考えて調理します。
- 「和漢膳」は特殊なお料理?
- そんなことはありません。東洋医学を基礎に、各自の体質(証)に合った食材と和漢食材を組み合わせて作る、いわばオーダーメイドの料理です。食材は根・茎・葉・花・実をいただく全体食。
栄養価の高い生薬としても使用されるものを加えて食べるので、バランスの崩れが早く整うのが魅力です。
- 子供でも食べられますか?
- もちろんですよ!
お子さまにはクコの実や松の実、白きくらげ、蜂花粉(2歳以上)など、おすすめの食材が
いろいろあります。分量は漢方医と一緒に考えましたので、安心してお召し上がり下さい。
- 体質が違うのに同じ食事でよいの?
- 食事は家族みんなで楽しく囲むものですね。
冷え症タイプはカラダを温める食材を、暑がりタイプは体を冷やす食材を少し多めに食べるように工夫すれば大丈夫です。
- すぐに効果が現れるの・・・?
- はい!食べて即効果を体感されるのは、冬虫夏草や高麗人参などやはり人気の食材ですね。目安は古い血液が新しい血液と入れ替わるのに3ヶ月程はかかりますので、続けてお食べください。継続は力なり。